アルバイト、パートタイム、派遣社員・・・。これまで非正規の仕事といえば、若者や女性が中心だった。しかし近年、非正規労働の現場で、しばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員だった人が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくようになった。 かつて企業や役所に君臨してきたおじさんたちが非正規で働くのは、新しい時代の幕開けなのか、それとも日本の労働市場の劣化なのか。たくましくもどこか悲壮感が漂う、非正規労働のおじさんの姿をリポートする。 (若月 澪子:フリーライター) 冷え込み激しい2月の休日、首都圏にあるイベント会場で、とある国家試験が行われていた。およそ5000人の試験受験者がいる大規模会場である。 この会場には5000人の受験者に対して、総勢200人ほどの試験監督が配置されていた。彼らのほとんどがアルバイトで、そのうちのおよそ8割が50~60代の「おじさん」で