魚類には痛みを感じる痛感神経がない、またはほとんどない、あるいは見当たらない。そんな話を何度も聞いたことがある。もしも魚に痛覚があれば、釣りという遊びは残酷に思えるし、片身を削いだ魚を水槽へ泳がせて包丁の技を自慢するといった行為は、それこそ倫理にもとる行ないということになる。 魚が痛みを感じているかどうかという疑問は、昔から幾度となく話題になってきた。 そもそも魚の口にハリを掛けるのが「釣り」だから、その行為に罪悪感を抱いては「趣味」として成り立ちにくくなるため、釣り人の多くは「魚が痛みなんか感じるはずはない」という立場だった。キャッチ&リリースというフィッシング・ゲームの規則も、魚が痛みを感じないか、さほど感じていないという考え方が背景にある。でなければ、「無益な殺生を避けるため」などという理由は、空々しいものになってしまう。 しかし、アメリカの生物学者が魚類の知覚や認知行動を研究調査し