重症急性呼吸器症候群(SARS)について(第24巻、4号) 2003年4月 2003年2月末にベトナム・ハノイの病院において、医療スタッフを中心とした原因不明の急性肺炎の流行がみられた。この集団発生の発端となったのは、アメリカ人男性の発病であった。男性は、上海と香港に滞在後、ハノイに到着した直後に筋肉痛と軽い咽頭痛の症状で2月26日入院したが、その後重い呼吸器障害に陥り3月6日に香港に搬送され、同月12日に死亡した。3月上旬にハノイの医療関係者約30人が同様の症状を示した。また、同時期には、 香港の多数の医療関係者にも同様の症状がみられた。 世界保健機関(WHO)は3月12日、この事態を世界に発信し、15日のプレス・リリースで原因不明のこの疾病を、重症急性呼吸器症候群 (Severe Acute Respiratory Syndrome, SARS)とし、本疾患が感染者の飛行機による移動で