2016 - 08 - 21 1つのバー、2人のおんな (前編) 忘れられないおんながいる。いや、生物学的には男だが。 彼女との出会いは、私が25歳の時だった。 地元の大学を卒業し、就職を機に上京した私にとって、東京の夜の街は、 遊園地のようだった。 営業という仕事柄、飲み屋はずいぶん覚えた。今までに行ったことのないような敷居の高い店でも、会食で何度か行くようになってから、だんだん慣れてきた。 そのうちにむくむくと湧いてきた思いがあった。 「ひとりでバーで飲みたい。」 昔から憧れていた、バーでひとり、酒を飲む男の姿。(憧れるのは、いつも男だ) 映画の主人公たちは、女に振られたり、仕事で失敗したり、 父親 との確執が生まれた時など、カウンターに座り酒を飲む。その手にはいつも、ロックグラスに入った2、3センチの ウイスキー (いや、バーボンか?)。 そう、彼らはいつもストレートでそれを飲み干す