ネタバレを含みますのでご注意ください。 『火垂るの墓』は戦争の凄惨さを描いた作品であり、同時に、現代を生きる「(広義の)コミュ障」の生き様を描いた作品でもあるのではないかと、私には感じられました。 主人公は清太14歳と節子4歳。ふたりは海軍士官のご子息ご令嬢で、特に清太は自分の父と日本海軍を誇りに思っています。 戦時中という国家レベルの非常事態のなか、周囲のすべての人が「生きるか死ぬか」の瀬戸際で生きることを迫られています。お坊っちゃま育ちの清太と節子はどのように振る舞い、それは周囲にどう映るでしょうか。 ✳︎ 清太は戦争という現実からひたすら目を背け、刹那的な希望とともに生きているように見えます。結果的に、その姿勢によって環境の変化(孤児になったり、親戚に引き取られたり)に適応できず、愛する節子を失ったあげく、自分の命まで失います。 ✳︎ こう書いておきながら、私は清太だけを責める気には