美人について書かれた書物は、数多く存在する。一方ブスに焦点を当てた本は、実に少ない。皆が触れてはいけないと思っているからだ。ブスーーそれは響きだけで人を殺すパワーをもった言葉。人道的な理由から、禁止令が出されてもおかしくないほどだ。 私もタイトルを見たとき、強く惹きつけられるのと同時に、目を背けたくなるような感情に襲われた。レジへ持っていくまでに要したのは、実に1ヶ月の期間と4度の挑戦。 ブスが『ブスの本懐』を買う、これ以上の屈辱があるだろうか。しかし本書を読み始めてみたら、そんな瑣末なことで悩んでいた自分が馬鹿らしくなった。 本書は、日頃タブー視されがちな「ブス」という言葉を、これでもかというほど盛り込んでいる。ブスという言葉を避けるのではなく必要以上に用いることによって、最終的にブスとは何なのかを分からなくしてしまおうというのが、著者の狙いなのだ。いまだかつて、こんな画期的な解決策があ