昨年9月のリーマンショックを境に、今回の不況は深刻さを著しく増した。モノやサービスの需要が急減。まるで跡形もなく消失してしまったような急激な落ち込みぶりから、「需要蒸発」という表現がメディアで踊った。 この異常事態を受けて、商品の大幅な値下げや特売によって、なりふり構わず需要を喚起しようとする動きが、小売りを中心に拡大。それに伴って消費財メーカーの多くが、自社製品の値下げを余儀なくされている。 そうした中、価格が多少高くても質の良い製品やサービスに購買意欲を示す「品質フォーカス層」の消費者にターゲットを設定。そして、利益を十分に確保できる価格で製品やサービスを提供し、業績を拡大している。そんな消費財メーカーや小売りの実例を、前回まで見てきた。 今回の不況で需要蒸発に見舞われているのは、一般消費者を相手とする消費財メーカーや小売りだけではない。企業向けに、生産設備や部品、素材を提供している生