脳内ホルモンの一種「オキシトシン」の投与で重度の知的障害のある自閉症患者の症状が改善したと、金沢大・子どものこころ発達研究センターが23日、発表した。主治医の棟居俊夫・特任准教授は「知的障害のある患者で効果が確認された例は初めて」としている。 オキシトシンは出産時に大量に分泌され、子宮や乳腺の収縮などに作用、陣痛促進剤などとして使われている。他者を認識したり、愛着を感じる機能に関係するとの研究結果も最近出され、知能の高い自閉症のアスペルガー症候群で効果が実証されたとの報告もある。 この報告を知った、同センターに通院する20代の男性患者の両親が、08年にオキシトシンの点鼻薬を輸入し、数カ月服用したところ、(1)主治医の目を見て話す(2)対話で笑顔を浮かべる(3)IQテストが受けられるようになる−−など症状が改善。10カ月間投与し改善状態の持続も確認した。 男性は3歳で自閉症と診断され、