密教における代表的菩薩とされる金剛薩埵を中心に、欲・触・愛・慢の4つの金剛菩薩を配した五秘密曼荼羅図である。敬愛や滅罪のための修法である五秘密法の本尊として使用される。欲・触・愛・慢という人間のもつ本来の煩悩を象徴する菩薩と、不動堅固の菩提心(悟りを求めるこころ)をあらわす金剛薩埵とを同体とすることによって、欲望も浄化すれば清浄な菩提心となりうるというのである。その図像は、1つの大きな月輪の中の同一蓮台の上に五菩薩を集合させる。中央に、頭部に五仏宝冠をいただき、左手に五鈷鈴、右手に五鈷杵をとる金剛薩埵の坐像を白蓮華座上に置き、その周囲に、向かって左から、弓矢を持つ「欲」、金剛薩埵を両手で抱く「触」、摩羯魚幢を捧持する「愛」、二手金剛拳(慢印)を結ぶ「慢」の金剛菩薩を配している。その背後には外周に火焔をめぐらせた二重円光を描く。本図は、さらに、画幅の四隅に、開敷蓮華を活けた花瓶を置く。全体に
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