栄養疫学者の視点から 栄養に関する研究の質は玉石混交。情報の渦に巻き込まれないために,栄養疫学を専門とする著者が「食と健康の関係」を考察します。 [第13話]科学的根拠に基づいた利益相反 今村 文昭(英国ケンブリッジ大学 MRC(Medical Research Council)疫学ユニット) (前回よりつづく) 前回(第3263号),HPVワクチンについて,その安全性を認める研究にもそうでない研究にも利益相反が潜んでいる可能性があることを述べました。しかし,「利益相反が疑われる」と個人的な意見を述べるだけでは,情報の質としては高くありません。 科学的根拠に基づいて「利益相反がある」と考えるには,こうした不正を生む疑いがある研究とない研究の結果を比較して,異なった結論が導き出されているかを検証する方法が挙げられます(JAMA. 2003[PMID:12928469])。そこで今回はこう