糒(乾飯・干し飯:ほしいい)を作ってみた~伊勢物語の追体験 伊勢物語特集 その2 糒(ほしいい)は、難しい漢字ですが、分解してみると「備える米」ということになって、非常事態に備えて作っておく米(食糧)であることが解ります。私がこの言葉に初めて出合ったのは、高校生のとき古文の授業で受けた『伊勢物語』で、でした。 そのエピソードは第9段「東下り」に出てきます。昔男は、女性に失恋して、自分を見失い、もはや自分は生きていく価値もないと、仲間とともに、東海、関東地方への旅に出るのですね。 (三河の八橋というところに行き) その澤のほとりの木の蔭に下りゐて、乾飯食ひけり。その澤にかきつばたいとおもしろく咲きたり。それを見て、ある人いわく、「かきつばたという五文字を句の上にすゑて、旅の心をよめ」といひければ、よめる。 から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ とよめりけれ