★(5) 今回の連載で見てきたように、日本は押しも押されもせぬ「科学大国」である。広い分野で一流の科学力と技術力を誇っている。だが、その能力の割には日本企業は収益力に欠けるように思われる。日本の科学技術には克服すべき課題も多い。 第1に挙げられるのが「科学力・技術力を経済力へ転化するノウハウを持つこと」である。特許戦略と言ってもいいし、一般的に知的所有権戦略と言ってもいい。せっかく技術力を持っていても、他国に盗まれては何にもならない。日本が、中国や韓国に追い上げられた背景には、この知財権戦略の欠陥がある。 第2に「軍事関係の技術を生かせ」だ。米国などを見れば明らかなように、最先端の技術開発は常に軍事と不可分の関係にある。ミサイルから潜水艦、無人機まで、最先端の兵器開発は、最先端技術の競争でもある。 戦前の日本では、陸軍と海軍がこの分野の産業力を強力にバックアップしていた。その中から、ゼロ戦
青色発光ダイオード(LED)の開発でノーベル物理学賞を受賞する米カリフォルニア大の中村修二氏は3日、発明の対価を巡り裁判で争った日亜化学工業(徳島県阿南市)について「関係を改善したい」と語った。その上でLEDの分野で「日亜化学と共同研究できればいいと思う」と意欲を示した。文化勲章の受章後に都内で開いた記者会見で明らかにした。中村氏は青色LEDの特許を巡って、当時勤務していた日亜化学と法廷闘争し
政府は3日、国家戦略特区諮問会議を開き、規制緩和策の一環として憲法を含むすべての法律の適用を除外する「アジール(聖域)特区」を東京・西之島に設置することを決定した。今国会に改正法案を提出する。火山活動が収まり次第整地を始め、東京五輪が開催される2020年の施行を目指す。 政府では規制緩和の最終段階として、徴税や独占禁止法の廃止などを含む国家制度解体について検討してきたが、3日の会議でその第一段階として一部地域に限って法の適用を除外する「アジール特区」を設置することを決定した。 アジール特区は国際法的には日本の領土だが、特区内では憲法を含むすべての法律を適用外とした。特区に限り外国人労働者の無制限雇用や労働基準法を大きく逸脱する「ブラック労働」を認めるほか、法人税率もゼロになるため、財界からはタックスヘイブン(租税回避地)としての利用に期待が高まっている。 だが一方で警察権や「違法行為」が存
人類がまだ火星に行っていないのは、 科学の敗北ではなくマーケティングの失敗なのだ。 ここ数週間、本書のオビに書かれていた言葉が頭から離れない。だが、こう言われて気を悪くするマーケティング関係者などいないだろう。叱咤されているようでもあり、持ち上げられているようでもあり… 1969年7月20日午後10時56分20秒。その時代に生きていた人なら誰もが、その時どこで映像を見ていたのか、克明に憶えているとも言われるアポロ計画。イーグル号が月面着陸して人類の足跡が月面に刻まれる様子は、世界中の人によってテレビやラジオで見守られた。 本書はこの科学的偉業を、史上最大にして最も重要なマーケティング・PR活動として紹介した一冊である。科学や技術が事足りていたとしても、世の中にそれが受容され、自分事化されなければ、後世に語り継がれるどころか、事を成し遂げることすら難しい。科学の裏側で見落とされがちな社会史的
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