レジで会計をしている最中に、財布を持っていないことに気づく――そんな経験は、誰でも一度や二度、あるのではないだろうか。人気アニメ『サザエさん』の歌にも「買物をしようとして、財布を忘れた」という場面が登場するが、実際に直面すると「愉快だ」と笑っていられる状況ではない。 特に笑えないのは、飲食店で料理を食べ終えてから財布を持っていないことに気付いたときだ。スーパーやコンビニでの買い物なら、商品を棚に戻せば済む。しかし飲食店では、会計の前に食べる場合がほとんどなので、気付いたときにはもう遅い。元通りに戻すことはできないのだ。 このように「財布を忘れて食事」をしてしまった場合、犯罪になってしまうのだろうか。中村憲昭弁護士に聞いた。 ●ウソをついて立ち去れば「詐欺罪」になる 「今回問題となるのは、詐欺罪です。詐欺とは、人を騙して物や財産上の利益を得ることです。いわゆる『食い逃げ』は、この詐欺罪にあた