千葉大学 > 千葉大学を語るトップ > 千葉大学を語る：村瀬 誠 氏千葉大学を語る 第10回：村瀬 誠 氏 大学院の修士を終え、保健所の環境衛生監視の現場に飛び込んだときの驚きを今でも忘れられない。薬学が現場とあまりにも乖離しているのを目の当たりにし、自分が学んだ薬学とは何だったろうと愕然としてしまったのである。地域も地球も環境問題がこれだけ深刻化しているにもかかわらず、人の健康と物質とのかかわりを科学するはずの薬学がほとんどそれに応えていなかったように自分には思えた。 そのとき思い浮かべたのが、学生だった頃、仲間どうしでよく口ずさんだ国際学連の歌だった。「労働に打ち鍛えて、実らせよ学問を。平和望む人のために捧げよう我が科学…………」。ならば自らが書き上げた地域と地球の処方箋を現場で実践し、それを新しい薬学に結実させればよい。その決意が今でも自分の志を支えているように思う。 とはいえ、それは言うほど簡単ではない。まず、事実を深く洞察し、本質を見ぬき、そし
