美術売り込む国家戦略 仏トゥールーズ市現代美術祭2008年10月15日14時54分 印刷 ソーシャルブックマーク フランス南西部のトゥールーズ市で開催されている現代美術祭「9月の春」(19日まで)を、仏外務省文化交流局の招待で取材した。42人の85作品を市内22カ所で見せる国際展。数百年前の建築物を文化資源として活用する自治体の試みや、自国の作家を外国に売り込む国家戦略など、アートと向き合う“姿勢”が印象に残った。(古賀太) 旧市立病院が展示会場の一つ。銃を並べたデルフィーヌ・リーストの作品は、人が近づくと、銃口がその人の方を向く。死と隣り合わせにさせられたような感覚が、暗い病院の中で浮かび上がる。 旧食肉工場を現代美術館に改装した建物も展示場。ファブリス・ジジの、鉄の滑り台のようなインスタレーション。奥にはバンサン・ラムルーの大きな風船が天井から下がる。失われた動物たちの“記憶”が立ち上