【カイロ=今村実】シリア内戦で、化学兵器の取り扱いに関わった政府軍元幹部二人が、本紙取材に内情を証言した。うち一人は「過去に化学兵器を使うよう命令を受けた」と語り、アサド政権が今年に入り、特別部隊を編成、化学兵器の保管場所を移動させていると指摘した。 十四日の米ロ合意は、アサド政権に化学兵器リストの一週間以内の申告を求め、その期限が迫っている。申告は、政権に合意を順守する意思があるかをはかる試金石となる。 化学兵器について、政府軍で訓練を担当し離反したという将官の説明では、研究施設は首都ダマスカスと中部ホムス周辺に位置。主要な生産、貯蔵施設は北部アレッポ、中部ハマ、北西部ラタキアなど五地域に点在する。生産施設はアレッポ周辺が最大という。化学兵器は千トンと推定されるが、実際ははるかに多いとの見方だ。