シャドウ・ワーク イヴァン・イリイチ 岩波書店 1982 Ivan Illich Shadow Work 1981 [訳]玉野井芳郎・栗原彬 イリイチの心の先生はカール・ポランニーである。 ポランニーからイリイチが学んだことは、近代史というものは市場経済が埋めこまれた状態からの離床として理解できるはずだという見方だった。そこには「貨幣化される社会活動」と「貨幣化されにくい領域」とが同時に発生していた。 イリイチはその後者をまずもって「シャドウ・エコノミー」(影の経済)ととらえる。しかし、ここで注意するべきことは、このことを理解していないのはわれわれ生活者であって、すでに政府や企業はこの両者のことを一知半解に知っているということ、すなわち誤って知っているということ、また、この両者ともに人間生活のサブシステンスを破壊しているということである。 企業がシャドウ・エコノミーを一知半解に知っているの