■チキンな少年に教えるアメリカの男 クリント・イーストウッドの『グラン・トリノ』をみた。男らしさとはなにかと教えようとした映画だったと思う。 そして男らしさを身につけることはどこの国の少年にとっても普遍的な通過儀礼だ。日本でも大なり小なりこの映画のような経験をして大人になってゆく。ワルやケンカの関係をやりすごしながら、自分のポジションをつくってゆくものだ。 男として生まれたからには男らしさや男としての強さが求められる。けなされたり、からかわれたりしない強い男の評判を男はつちかわなければならない。男としての名誉やプライドは自分で守らなければならない。いちどヘタレやチキンだと思われてしまうと、ずっとパシリやいじめのような目に会ってしまう。男らしさや強さは自分で守り、維持してゆかなければならないのである。 この映画に出てくるアジア系の少年タオはほかの白人グループからからかわれたり、侮辱されても、