2016 - 07 - 13 『ヒゲ』リーマンの憂鬱 (後編) ヒゲが濃いせいで憂鬱な日々を送っていたが高校の文化祭で『美女と野獣』をやりベル役の子と付き合うことになった後日譚。 僕らは60を超えて危機に瀕していた。現実というものはディズニーのおとぎ話なんかじゃない。永遠の愛を打ち砕くこともある。 2人の子に恵まれ幸せな日々を送っていたが、僕と妻の間には、交際した期間分の澱のような倦怠感がただようようになった。 ある朝、起きると妻が消えていた。テーブルの上には、置き手紙があった。『しばらく田舎に帰ります。心配しないでください。』 僕は、高校時代の文化祭のDVDをセットして、缶ビールを飲みながら見た。怖いものなんてなかった。二人とも若さで輝いている。 ずっと思ってた。『野獣』というあだ名をつけられた僕となぜ、クラスのマドンナだった妻が付き合い、結婚してくれたのだろうか? 翌朝、何もなかったよ