受精せず種子大きく=悪条件に強い穀物開発も-名大 植物の種子が育つには、花粉に含まれる精細胞と卵細胞の受精が必須と考えられてきたが、名古屋大の研究チームは精細胞を運ぶ「花粉管内容物」と呼ばれる液体に同じ役割があることを発見した。米や小麦などは肥大した種子の一部(胚乳)が食用になるため、研究成果は高温や台風など受精しにくい条件でも生産できる穀物の開発に役立つと期待される。論文は28日付の米科学誌サイエンスアドバンシズに掲載された。 名古屋大の笠原竜四郎博士らは、植物の花粉がめしべに受粉した後、花粉管を伸ばして精細胞を卵細胞に届ける際に、精細胞と一緒に液体を放出していることに着目した。 受粉して液体が放出されても、受精はできないシロイヌナズナの変異体を使って遺伝子の働きを調べたところ、正常な受精と同じように種子の細胞を肥大させたり、種皮を形成したりする遺伝子群が活発になっていた。実際の変異