私は多様性について講演するたびに,聴衆から同じ質問を受ける。「で,どうすればよいのか?」 学校も研究機関も企業も病院も法律事務所も,話を聞きに来た人たちはみな迷っているようだ。秘密の処方箋や絶対確実なチェックリストを欲しがっている。私が「以下の簡単な手順を実行すればダイバーシティーとインクルージョンが実現しますよ」と話すのを期待している。だから,まずお断りしておこう。人種や民族,社会経済的背景,性別が十分に多様な集団を確実に実現する簡単な方法は,存在しない。 職場や教室の環境をよりインクルーシブにしたいと多くの人と組織が願っているが,私の経験からいうと,少数のよくある誤解がその真摯な願いを邪魔している。第1の誤解は,多様性を高めるうえで,人それぞれを異なるものにしているのが何かを考える必要はないと思われていること。第2に,学校や職場の環境を全員が同じように感じているという思い込み。第3に,