自閉症スペクトラムと呼ばれているような障害は、実は障害ではない。生物としての人類のバリエーション(変異)の一つである。本来は人類の、生息環境に対する適応の一つのあり方だというのが、ニューロダイバーシテイ(脳多様性)という考え方に他ならない(詳しくは正高信男著『ニューロダイバーシテイと発達障害』(北大路書房、2019年12月刊行)。 自閉症スペクトラムというものの実態は、(1)対人関係、取り分けコミュニケーションが不得手で、(2)興味・関心の幅が著しく限られていたり、こだわりが激しいという二点を特徴とする(つまり、いわゆるオタク的傾向が顕著な)発達「障害」として、一般にもよく知られるようになってきた。 「障害」はおおよそ、遺伝的要因によって生ずると考えるのが定説となっている。発症率はどんなに少なく見積もっても、1−2%25人に一人と主張する研究者もいる。この値は、他の大抵の遺伝的障害に比べて
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