日本人の給料が一向に上がらないのはなぜなのか。カリフォルニア大学バークレー校のスティーヴン・ヴォーゲル教授は「日本はバブル崩壊後のコスト削減をいまだに引きずっている。企業の利益が上がっているのに設備投資が横ばいであることからも見て取れる」という――。(取材・文=NY在住ジャーナリスト・肥田美佐子。第1回/全2回) 【写真】スティーヴン・ヴォーゲル教授 ■日本の多くの構造改革は経済の活性化につながらなかった ――2018年に上梓された『日本経済のマーケットデザイン』(日本経済新聞出版社)で、アベノミクスについて書いていますね。過去10年にわたって、日本の経済政策の屋台骨だったアベノミクスをどう評価しますか。 「3本の矢」に照らして見ると、まず、第1の矢である「金融緩和政策」は大成功を収めたと言ってもいいでしょう。政府は積極果敢なデフレ対策を講じ、経済再生の追い風になりました。 第2の矢である
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