政府の避難呼びかけに応じて、ガラガラのバスで避難先のチョンブリ県に向かう被災者=バンコク都心部の日タイ青少年センターで2011年10月29日、西尾英之撮影 【バンコク西尾英之】タイ大洪水でタイ政府は29日、今後もバンコクの浸水被害が広がり、被災者数が増え続けるとの見通しから、バンコクの全住民を対象に「洪水の危険がないバンコク周辺9県への避難」をバスで行う移送大作戦を開始した。希望する住民をバスなどで周辺県へ送り届け、避難施設も提供するものだが、呼びかけに応じた住民はわずか100人。政府の対策のちぐはぐさも見せつけた。 「19日にバンコク北部の自宅が冠水し、親戚の家などを転々としてきた。水が恐ろしくて、一刻も早く洪水の危険のないところへ逃れたい」 移送作戦の受付場所に指定されたバンコク都心部の「日タイ青少年センター」。着替えなどを詰め込んだトランク二つを引っ張って現れたバイクタクシー運転手、