(2014年6月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 国際サッカー連盟(FIFA)がお届けするサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会へようこそ――。FIFAはコーポレートガバナンス(企業統治)の大惨事でありながら、地球上最も成功した多国籍組織にも数えられる組織だ。 FIFAの縁故主義、経営トップの硬直性、腐敗と、英国版のフットボール(サッカー)を全世界に広める(そしてアメリカンフットボールを圧倒する)うえで成し遂げた偉業とのコントラストには目を見張るものがある。この対比は、FIFAはとてつもなく大きな強みと、甚だしい弱みの双方を持つことを浮き彫りにしている。 世界のスポーツ界を征服したFIFA 2022年のW杯開催権を猛烈に暑いカタールに与えた決断は、FIFAの矛盾を極限まで試した。この選択は今や、「最高指導者」(FIFAのアヤトラのような職務説明)として5期目に意欲を見せるゼッ