最近は経済不況、外交問題に隠れがちだが、日本における20年来の課題のひとつに少子化問題があることはほとんどの人が知っているだろう。たとえ人口減が現時点では経済や社会に大きな影響を与えていないのだとしても、「人口が減りつつある」という予期は陰に陽に人びとの行動に影響している可能性もある。 他方で、つぎのことに気づいている政府・メディアの人はそれほど多くない印象である。それは、少子化に関する危機意識が政府・メディアから出始めたのは90年代からだが、当時の少子化に関する問題設定と、今日のそれとにはみすごせないギャップがある、ということだ。 他の先進国に比べて婚外出生率が極端に低い日本では、出生率の低下の多くは婚姻率の低下によって引き起こされるものである。したがって「少子化の原因は何か」という問は、「なぜ日本人は結婚しなくなったのか」を問うことでもある。 90年代に少子化が問題とされ始めたときは、