長く密接な関係を持ちながら、日本人にはなじみの薄かった朝鮮半島の歴史。その面白さを伝える時代小説を孤軍奮闘で開拓してきた。 「ずっと“一人韓流”だった。だから最近の韓国への関心の高まりはうれしいですね」と追い風を歓迎する。 文禄慶長の役の名将、李舜臣(イスンシン)暗殺の陰謀を巡るデビュー作『高麗秘帖』(祥伝社文庫)を始め、日朝の交流史に奇想天外な剣術、忍法を絡め、血わき肉躍る物語を作り上げる。山田風太郎ばりの活劇は、大衆小説の王道だった時代伝奇ものを継ぐ本格派として評価が高い。 韓国への関心は、読売新聞の記者時代、川崎で外国人指紋押なつ問題を取材したのがきっかけ。出版社勤務を経て「韓国関係のことを一生の仕事に」と、35歳で語学留学、1999年にデビューした。ソウルには「本の買い出し」にたびたび足を運び、ハングルの原史料を読めるのは大きな強みだ。 最新作の短編集『サラン 哀(かな)しみを越え