駅伝があるから、日本のマラソンは強くならない。少なからぬ陸上競技関係者が、そう苦言してきた。大学と実業団における「駅伝偏重」の練習が、マラソン日本代表の弱体化につながっていると。 関東の大学長距離ランナーの多くがあこがれる箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)は、1区間の距離が21キロメートル前後だ。求められるのはハーフマラソンを安定したペースで走り抜く力である。 世界を目指すのなら1周400メートルの陸上トラックでスピード練習を積むか、42.195キロのフルマラソンに備えたスタミナ練習を重ねるべき時期なのに、箱根に特化した練習ばかりを行っていると、トラックの能力もマラソンの能力も伸ばせないまま、大学の4年間が終わってしまう恐れがある。 だが、今年の1月2、3日に行われた第88回大会は、「箱根駅伝に必要なのはハーフを堅実に走る力」という認識を一変させた。優勝した東洋大学のメンバーは、最初か