桶狭間の戦い後 「今川義元の首を討ち取った!」 信長は血に染まった右手を天に挙げると、高らかに宣言した! 「勝利じゃ!! 者ども、勝利じゃ。勝どきをあげよ。われら勝利よ!!」 今川義元は家督を譲ってはいたが、しかし、実質的には今川全体を仕切る当主でありカリスマ大将であった。その義元の首を槍に掲げた織田軍。 今川軍の戦意は、風船がはじけるように急速にしぼんだ。 完全な勝ち戦と浮かれていた今川軍の落胆は底なし沼だ。 悪夢か、悪夢なのか・・・、それまで信じていた土台がボロボロと足元から崩れていく悪夢。 もともと兵士ではなく、戦のたびに徴兵される一般の雑兵にいたっては逃げることしか考えない。 大将首を取られたと聞けば、あっという間に敗走していく。 武将が「逃げるな!」と声を枯らしても無益なことであって、その武将自身も義元の死に涙を浮かべていた。 勢いづいた織田勢は敗走する今川軍を追撃した。 勢いを