2015.05.14 書評 「ぼくは勉強ができない」で勉強してきた 綿矢 りさ (作家) 『ぼくは勉強ができない』 (山田詠美 著) 出典 : #文春文庫 ジャンル : #小説 心から従順であるためには、自分の考えを持たないこと。学生時代、自分では気づいてなかったけど無意識の範疇で大人に気に入られたいがための縛りが心と身体をがんじがらめにしていたから、本作の主人公時田秀美くんはどんな不良よりもとんでもなく見えた。ぐれて反抗し両親や教師に反発するために、もしくは他の大人しい灰色にくすんでいる生徒たちに差をつけるために、校則違反や夜の遊びにふける子は注意しやすい。しかし時田くんは一本筋の通った自分の考えに、大人が長年の人生経験を経て凝り固まってしまった偏見を遠慮なくぶつけたときに牙をむく。 彼は頭の回転の遅い女の子がなぜクラス委員になってはいけないのか、父親のいない自分はなぜ不幸だと決めつけら

