作家、開高健が、 かつて在籍していたサントリー宣伝部を訪れた際に よく口にしていたというのが、 「悠々として急げ」という言葉だそうだ。 思えば、ぼくがお世話になっている人たちにも 「悠々として、かつ、急いでいる」ように見える人が多い。 きっと滅茶苦茶に忙しいはずなのに とてもそんなふうには見えない(見せない)。 そういうふうにしていると、 仕事もどんどん増える。 でも、依然として悠々としていて、 そして急いでいる(ように見える)。 「悠々として急げ」。仕事人としての姿勢を 見事にとらえた言葉だと思う。 その開高健が編集者の心得をつづったのが、 以下の「編集者マグナ・カルタ九章」である。 読め。 耳をたてろ。 眼をひらいたままで眠れ。 右足で一歩一歩歩きつつ 左足で跳べ。 トラブルを歓迎しろ。 遊べ。 飲め。 抱け。抱かれろ。 森羅万象に多情多恨たれ。