人が老化を意識するきっかけに、もの忘れがある。中高年特有のもの忘れには「面倒くさい」という意識が関係しているようだ。著者は仮に面倒病と名付けているが、これは思い出すのが面倒くさい(だから、思い出せない)というもの忘れだ。例えば、自動車のカギをどこに置いたか思い出すには、自動車を降りてからの記憶を芋づる式にたどらなくてはならない。それが面倒くさいから「忘れた」となる。 この面倒病は40歳を過ぎたあたりから顕著になる。「顔は覚えているが、名前を忘れた」「親友なのに、咄嗟に名前が出てこない」というのも面倒病だと聞けば、思い当たる節がある人もいるだろう。恐ろしいのは、この面倒病が認知症につながっているということだ。詳しい説明は本文にゆずるが、面倒、面倒といって会話や外出も減れば脳循環もますます低下し、脳にゴミがたまってきて、それが認知症を引き起こす。 現在、認知症の確実な治療法はない。しかし、予防