仕事を全てオンラインで行う会社の元社員が、賃金未払いなどの被害に遭う事態が起きた。退職後に給与を請求したが、会社側とやりとりしていた交流サイト(SNS)でも電話でも対応してもらえず、後に連絡が途絶えたという。オンライン業務が普及する中、労働組合関係者は「労働者の使い捨てが起きやすくなっている」と警戒する。(河野賢治) 【画像】会社が求人サイトに出していた社員募集。雇用形態は正社員、給与は月給となっている 「雇用形態…正社員」「社会保険…雇用保険、健康保険、厚生年金」-。 ある元社員は昨年、大手求人サイトで不動産関連のベンチャー企業の社員募集を見つけた。仕事は「完全在宅勤務」。会社のホームページをのぞくと、本社は東京都と書かれていた。 「在宅勤務は何かと便利だ」。そう考え応募した。ビデオ会議システムで「社長」を名乗る男性と個人面接。男性は終始、自分の顔を映さなかった。その場で採用が内定した。