肺炎は,抗菌薬の開発が目覚しい現在でも,日本での疾患別死亡率の第4位を占めている.また,肺炎による死亡者のなかで65歳以上が占める割合は95%と極めて高く,高齢者での死亡原因では肺炎は第1位となる. 高齢者肺炎のほとんどは誤嚥性肺炎であり,医療介護関連肺炎(NHCAP)である.2011年に日本呼吸器学会よりNHCAP診療ガイドラインが発表されたが,その内容はかなり抗菌薬に偏っており,抗菌薬以外の肺炎治療の方が抗菌薬単独より改善率がよいとする報告もあるにもかかわらずほとんど触れられていないに等しく,まだまだ問題点が指摘されている(2012年4月7日のNHCAPフォーラムでもその部分のフィードバックはほとんどなされておらず,反対意見はスルーされている). 誤嚥(aspiration)は,雑菌を含む唾液などの口腔,咽頭内容物,食物,稀に胃内容物を気道内に吸引することであり,これによって生じる肺炎
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