自動人形とインタラクティヴ・アート - 人工生命をめぐる考察 - 草原真知子(1995年) (メディア論) <注> 1994年12月から1995年1月にかけてこの論考を執筆しているとき、父が脳梗塞で倒れて意識を失い、家族が交代で夜も病室に詰めた。しんと静まりかえった都心の病院の深夜、見た目にも明らかに次第に「生気」が失われ、瞳が虚ろになり、死に近づいていく父の息づかいを耳でモニタリングしながら人工生命について書き続けるのは、たいへんに辛くまた不思議な経験だった。 ある朝、けたたましくサイレンを鳴らしながら救急車が次々に到着して病院が騒然とし、テレビのニュースで、地下鉄で人々が倒れたことを知った。悪夢のような地下鉄サリン事件だった。人工生命や自動人形ではない生物としての人間の死の気配に覆われたあの日々は、忘れたくても忘れられない。 このテキストは、当時勤務していた東京工芸大学芸術学部の紀要に