明治大学教授の齋藤孝さん(60)は、何ということもない「雑談」が、スムーズな人間関係のために大きな役割を果たす、と考えている。10年ほど前に「雑談力が上がる話し方」という本を書いたが、コロナ禍で人との交流が難しい今こそ、雑談の効用を考えるチャンスでは、という。 ――「雑談をする力」は、いわゆるトーク力とは違うのですか。 「トーク力は人を引きつける話術のことです。しっかりとした話す技術や、人間的な魅力が必要になります。でも、雑談力はそこまでハードルが高くない。話が下手でも問題ありません。まず基本をあいさつプラスα程度に考えたらいい。『おはようございます』の後に、『今日も午後から降りそうですね』とか『最近、あの店は混んでいますね』と付け加えるだけ。時間にすれば10秒から30秒。これが雑談の基本スタイルだと思います」 ――10秒から30秒……ずいぶん短いですね。 「実際に時間を計ればわかりますが