『アウトサイダー』(The Outsiders/1983) 映画館の暗闇から明るい陽射しの中へ踏み出した時、俺は二つのことを考えていた…… 真っ白なノートに主人公ポニーボーイがそんな言葉を綴り、夕陽に染まったスクリーンから「Stay Gold」が流れ始めた時の感動を今でも覚えている。ティーン主役映画=脳天気なコメディ路線が主流だった時代に、「硬派でまともな青春」が突然目の前に映し出されたのだから。1983年8月、夏の終わりのことだった。 その年の一番の話題は、春に開園したばかりの東京ディズニーランド。まさにアメリカ文化の象徴と言えたこの空間に、大人から子供まで誰もが夢中になっていた。しかし、80年代という新しい時代の中で呼吸する当時のティーンたちが本当に求めていたのは、純真無垢なファンタジーよりも「そこにあるリアル」だった。 本国アメリカでは、社会の矛盾やどうしようもない生活環境に戸惑いな