35で転職。37で離婚。 それから8年が経っていた。 子どもと妻がいなくなった生活。特に荒れることもなく、お酒におぼれることもなく、シリーズもののゲームが趣味で、なんとなくつまらない日常をすごしていた。 当時の私は小さな広告代理店の営業マン。 生活のリズムは凡庸に規則正しくて、朝8時45分の電車にのって職場へ、夕方6時に仕事が終わって、夜8時頃帰宅。こんな毎日。 たまに接待で遅くなることもあるが、それ以外の夜はひたすら引きこもってゲームをやっていた。 45才を過ぎたある日、臨時ボーナスが入った。 金額は8万円。 (うーん、このお金で何か自分にごほうび?) なんて思いながら帰りの電車に乗る。 その日は雨だった。 定時そこそこに会社を出て、上野から京浜東北線に乗り、秋葉原のホームで降りた。 (新しいゲーム機とソフトを買って帰ろうか・・) <その日の昼休みの会話> 社内で文庫本の貸し借りをしてい