1997年に扶桑社から発売された『現代ミステリー・スタンダード』は、1970年代後半から約20年間の間に翻訳刊行された同時代の主に英米のミステリーについて、一作家一作品、計百項目を紹介したブックガイドである。一項目を見開き二ページで構成する贅沢な版面、新進気鋭の評者・翻訳者が多数ラインナップされた、フレッシュかつ力量十分のライター陣、一流作家の一流作品を押さえた選書と、正直この時代についてこれ以上のものは作りようがない傑作ブックガイドである。翻訳ミステリファンは必携だろう。 私はもうかれこれ10年ほど、この『現代ミステリー・スタンダード』の続編が作られることを待ち望んできた。対象は上記で扱われた作品に連なる、1990年代後半からの約20年間、特に2000年以降に刊行された現代ミステリー。ジャンルの広がり、レーベルの増加、その中で膨大な数に膨れ上がった出版点数、そこに指針を示すブックガイドの