この対談は、〈ミステリーズ!〉vol.34(2009年4月号)に掲載されたものです。(編集部) (対談中のひとこま。左:桜庭一樹先生、右:北村薫先生) ●創元推理文庫との出合い 北村 わたしは田舎の町で育ったわけです。本屋にある文庫はほとんどが新潮文庫というような。そしてミステリが好きだった。すると新潮文庫にはディクスン・カーの『皇帝のかぎ煙草入れ』とクイーンの『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』が入っているので読む。まず『皇帝のかぎ煙草入れ』を読んで、次に『Y』『X』『Z』という順番だったかな。ところが、新潮文庫は悲劇四部作が『X』『Y』『Z』の三冊で終わっちゃうわけですよ。 角川文庫版の『最後の悲劇』もまだ出ていなかったので、町の本屋にはないこの先は、創元推理文庫というもので読めるそうだというのを、どこで知ったのかなあ。取り寄せてもらったんですよ、『レーン最後の事件』を。ところが、悔し