「ユリイカ」増刊号の「総特集初音ミク」の中で面白いと思ったのは、座談会で東浩紀さんが、初音ミクや同人音楽が盛り上がったことで、何か新しい表現が出てきたのかを執拗に聞いていたことです。 これに対し、テクノウチさんは、クラブミュージックというポップミュージック全体の中の一ジャンルのさらにニッチのサブジャンルであるJ-CORE という極めて狭いジャンルの話をしていました。 私は同人音楽のことは良く知りませんが、初音ミクやVocaloidが、既存のポップミュージックに大きな変化をもたらしたかと言えばほとんどもたらしていないと思いますし、おそらく今後ももたらすことはないだろうと思います。 この10年のポップミュージックの特徴は、ポップミュージックの制作環境や市場、消費環境は激変したが、音楽そのものでは革新はほとんど何も起きていないと言うことです。プロトゥールズなどの音楽ソフトウェアが普及し、個人でも