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2006年6月17日のブックマーク (8件)

  • 超映画批評『HINOKIO ヒノキオ』65点(100点満点中)

    『HINOKIO ヒノキオ』65点(100点満点中) 米国以上のCGと、すばらしい子役のハーモニー 引きこもりの少年が、遠隔操作のロボットを通じてガキ大将との友情を深めていく子供向け感動ドラマ。 主人公の男子小学生(郷奏多)は、研究者の父親が試作した遠隔操作ロボット、ヒノキオを操作して、学校に代理出席してもらっている。彼は過去に事故で母親を失ったトラウマから引きこもりになってしまっており、父親はそんな息子になんとか心を開いてもらいたくてこのロボットを与えたのだが、一向にその気配はなかった。 そんな主人公が、学校で出会った乱暴なガキ大将とヒノキオを通して交流するうちに、物の友情を知り、成長していくドラマである。まさに子供向けの健全なお話だ……と思うなかれ、「ヒノキオ」は大人が見ても十二分に楽しめる、非常に見ごたえある映画だ。 まず、CGを使って描かれるヒノキオがすごい。ヒノキオとは、軽量

  • 超映画批評『輪廻』80点(100点満点中)

    『輪廻』80点(100点満点中) 抜群に怖い、"物"のホラー映画 近年、ハリウッドで最も目覚しい活躍を見せた日人監督といえば清水崇だ。彼は自身の代表作『呪怨』のリメイク『THE JUON』で、日人監督として史上初の、全米興行ランキング第1位(しかも2週連続)という快挙を成し遂げたのだ。 そんな、勢いに乗る清水監督の最新作がこの『輪廻』。2004年の『感染』『予言』に続いて、日の誇るホラー映画監督6人の競作レーベル「J-ホラーシアター」から発表された、格派の恐怖映画だ。 35年前に、群馬県のホテルで起こった大量殺人事件映画化を狙う映画監督(椎名桔平)は、そのヒロインに新人女優(優香)を抜擢する。やがてその事件の詳細を知るうち、彼女は奇妙な幻覚を見るようになる。そんな彼女の前に、前世が35年前の事件の被害者だと語る女性(松まりか)が現れる。 『輪廻』は非常にすぐれたホラー映画だ。

  • 超映画批評『イヌゴエ』90点(100点満点中)

    『イヌゴエ』90点(100点満点中) 楽しくて心温まる、幸せになれる映画 犬の考えていることが人間の言葉でわかったら、どんなに面白いだろうという妄想は、犬好きなら一度はしたことがあるはずだ。そして、それをそのまま映画にしたのがこの『イヌゴエ』。登場する無愛想なフレンチブルドッグの「心の声」が、主人公に聞こえてくるというのがメインアイデアだ。 この主人公は、臭気判定士(この資格は実在する)として働く青年(山浩司)。彼は、人間としてはずば抜けた嗅覚を持ち、鋭敏過ぎて普段はマスクをしていないと生活できないほどだった。そんなある日、彼は父親から、拾ったフレンチブルドッグを旅行の間預ってくれと頼まれる。臭いに敏感な彼にとって、犬などとんでもないと断ったが、父は勝手にアパートに犬を置いて出かけてしまった。 ここから彼と犬の共同生活が始まるのだが、この主人公、なんとこの犬の心が「声」として聞こえること

  • 超映画批評『東京大学物語』65点(100点満点中)

    『東京大学物語』65点(100点満点中) 原作者でなければ絶対できない凄まじい実写映画漫画『東京大学物語』といえば、江川達也の代表作にして、コミック史上に残るトンデモ最終回が大評判(大不評?!)の問題作。リアルタイムで週刊スピリッツを読んでいた私のような人間にとっては、あのすさまじい終盤の展開は、ある種のトラウマである。 もともと江川達也は、変化球好きというか、反骨精神たくましい漫画家で、毒のない『ドラえもん』へのアンチテーゼとして『まじかる★タルるートくん』という子供向け(?)漫画を描いたと言われるくらいの人物。その彼が渾身の力で送り出した漫画『東京大学物語』は、それはそれは凄い作品であった。萌えの原点だの、究極のエロ漫画だの、色々といわれているが、確かにそれは真実であろう。 その『東京大学物語』が、ついに実写映画となった。しかも、監督は江川達也人。そして製作はアダルトビデオ界の雄

  • 超映画批評「マンダレイ」90点(100点満点中)

    『マンダレイ』90点(100点満点中) 前作より単純明快、ぜひ『ドッグヴィル』を見たあとに 『マンダレイ』は、あの斬新な佳作『ドッグヴィル』の続編だ。ちなみに『ドッグヴィル』最大の特徴は、床に白線を引いただけで壁も屋根も無い、だだっ広い体育館のような場所をひとつの村に見立て、そのセット内のみで3時間の映画を作りあげた点。役者たちがパントマイムで玄関のドアを開けると、キィとドアがきしむ効果音が挿入される。じつに斬新な演出の映画であった。 この『マンダレイ』も、まったく同じ手法で、ヒロインも同じ(ただし演じる女優は変更された)。彼女が別の場所(マンダレイという名の農園)で、別のドラマを繰り広げるPART2だ。 ときは1933年のアメリカ。ドッグヴィルを出たグレース(ブライス・ダラス・ハワード)は、ギャングのボスである父らと共に、南部のマンダレイという農園にたどりつく。そこはなんと、いまだに白人

  • 超映画批評『トム・ヤム・クン!』95点(100点満点中)

    『トム・ヤム・クン!』95点(100点満点中) プロの職人芸に圧倒される、完璧な出来のアクション映画 今週、『トム・ヤム・クン!』があって当によかったと思う。同日公開だが、同じアクション映画でも『デュエリスト』とはまさに月とすっぽん。アチラでガッカリした人も、これを見れば癒されるはず。もしくは、現在のアクション映画界における最高と最低を、同時に楽しむという、マニアックなやり方もありかもしれない。 主人公は王族に献上する象を育てながら、山で幸せに暮らしている青年。これを『マッハ!!!!!!!!』で全世界を驚愕させた、次世代のアクションスター、トニー・ジャーが演じる。やがて、いよいよ献上する日がやってくるが、手塩にかけて育てた象は、悪者たちの手により騙し取られてしまう。 かくして怒りの追跡劇が始まるというわけだ。監督は『マッハ!!!!!!!!』のプラッチャヤー・ピンゲーオ。前作の儲けをつぎ込

  • 超映画批評『インサイド・マン』90点(100点満点中)

    『インサイド・マン』90点(100点満点中) 大人が楽しめる、格的な犯罪娯楽映画 銀行強盗を描く映画は数あれど、この映画の犯行の手口にははっとさせられる。なんとこの犯人は、人質全員に自分たちと同じ服を着せてしまうのだ。 白昼堂々と、ニューヨークのマンハッタン信託銀行を襲った犯人(クライヴ・オーウェン)とその仲間たちは、人質全員の服を脱がし、自らと同じ没個性な黒スーツを着せる。前例のない犯行に翻弄される警察だが、現場を指揮する刑事(デンゼル・ワシントン)は出口を固め、犯人たちを完璧に閉じ込めることに成功する。しかし、犯人と人質の区別がつかないため、下手に突入できない状況が続いていた。そんな中、銀行の会長は、やり手の弁護士(ジョディ・フォスター)を呼び出し、犯人たちとある交渉をさせるべく、現場に送り込むのだが……。 『インサイド・マン』は、アメリカ映画らしい重厚な大傑作をみたと満足できる、す

  • 超映画批評『隠された記憶』90点(100点満点中)

    『隠された記憶』90点(100点満点中) ショッキング映画、妊婦その他心臓の弱い人は絶対鑑賞禁止! 凄い映画が現れた。万人向けではないが、たいへん知的で、インパクトの強い傑作の誕生である。 カンヌ国際映画祭でも絶賛された、このフランス映画『隠された記憶』は、ジャンルでいえばスリラーという事になろう。テレビキャスターとしてそこそこ成功し、や息子と幸せに暮らしている男の元へ、1のビデオテープが送られてくるところから話は始まる。 そのテープの内容は、延々と自宅の玄関が映されているだけという、意味不明なものだった。しかし、やがて第2弾、第3弾が届くにつれ、家族の恐怖は増してゆく。そういうストーリーだ。 観客には、差出人が誰なのかも、その目的もわからない。非常に不気味で落ち着かない。この映画、一切の音楽を流さない演出で作られており、緊張感がまったく途切れず進む。 実際問題として、犯行可能な人間が