2019年度前期のNHK連続テレビ小説『なつぞら』。物語は終戦の翌年、1946年の初夏からスタートする。主人公・奥原なつが子どもながらに知恵を絞り、命からがら生き延びようとする様子を観ていて、戦時中に子どもだけで生きていくとなると、子どもらしさを持つことすら許されない過酷な状況なのだとあらためて痛感し、苦虫を嚙み潰したような気持ちになった。 そんなヘヴィな物語の序盤に鮮やかさを加えるのが、なつが動物たちや大自然と戯れるオールアニメーションのオープニング映像と、スピッツが手掛ける同ドラマの主題歌“優しいあの子”だ。映像は『アルプスの少女ハイジ』や『あらいぐまラスカル』に近い懐かしいタッチでありながらも、現代的な色彩美で彩られている。スピッツの今もなお色褪せない豊潤なポップネス、やわらかいギターのイントロ、思わずスキップを踏みたくなるような軽快なサウンドとの親和性も高い。 隅々まで聴き心地のい