近代初詣の誕生 神社仏閣の初詣の人出は2008年(平成20)に過去最高となる9818万人を記録し、翌09年には前年を上回る9939万人を突破した。 警察庁は09年の発表を最後に初詣の人出調査の発表を取り止めたことから、警察庁の記録においてはこの年が過去最多の人出記録となっている。 しかしその後も、初詣の人出は衰えをみせていない。 年の始めにあたり、「今年1年がよい年でありますように」と願うことは、多くの日本人にとって、素朴で切実な思いの現われだろう。 ところが、正月三が日に、地元の氏神社や菩提寺ではなく、郊外や遠方の社寺に初詣に出掛ける「風習」は、明治時代中期に成立したという説が交通史の立場から唱えられている。 その年の「恵方」にあたる社寺に参る「恵方詣で」や初天神・初不動・初午・初巳などの「縁日」にこだわらない「初詣」という言葉は、1885年(明治18)の『万朝報』記事中の、川崎大師(金