学会で著者ご本人から抜き刷りを頂いた論文について。 打越正行, 2008, 「仕事ないし、沖縄きらい、人も嫌い---沖縄のヤンキーの共同性とネオリベラリズム---」『理論と動態』1: 21-38. 沖縄の若者の労働といえば、谷富夫, 1989, 『過剰都市化社会の移動世代---沖縄生活史研究』渓水社、が思い出される。そこで描かれる若年労働者は、失業ないしは半失業状態で苦境に立たされることが多いのだが、親族や地域社会のネットワークに助けられて、何とかしのいでいく、というイメージがある。ところが、打越氏によれば、このような共同性は必ずしも、相互扶助の美しい側面ばかりではなく、「シゴキ」というかたちでの暴力も伴う。ときとして非合理的ではあるが、全人格的な人間関係の中で、沖縄のヤンキーは社会化されていくという。また近年では、「シゴキ」がただのリンチに変容しつつあるという。このような変容の背景には、