書評004 「シェア」という視点からみた社会・空間の過去・現在・未来: エレメント/ネットワークによる建築・都市論、あるいは個人化された感情の「シェア」を巡って 門脇耕三他編著『シェアの思想/または愛と制度と空間の関係』(LIXIL出版、2015年) ■吉本憲生(横浜国立大学産学連携研究員) はじめに ここ数年、「シェアハウス」「シェアオフィス」「カーシェアリング」などのように「シェア」という言葉をよく耳にする。ほかにも、「Facebook」のウェブサイト上で、自分以外のユーザーの投稿を引用して友人に広めることも「シェア」と呼ばれている 1。このように、家・事務所・車など物理的な環境やモノのみならず、情報も共有することが「シェア」に含まれているようだ。こうした、多岐にわたる「シェア」という概念・現象を巡り、様々な議論を提示した書籍が、門脇耕三による編著作『シェアの思想/または愛と制度と空間