「なのに『コーヒー飲む?』と聞いても、洋平の答えは『うん、ちょっと……』とか言うのよ。もう『ちょっとってなに? コーヒーいるの、いらないの?どっちよ!』なんて言い返す感じ。当時はこのコミュニケーションの問題が大きなハードルで、なぜ肯定も否定もしないのか不思議だった。どうしてはっきりとした言葉で伝えてくれないのかって」 「そんな経験を重ねていくうちに少しずつ気づいた。日本人の男性と結婚して、日本の伝統的な家族のひとりになる準備というのは、どれほど日本の伝統文化を勉強したとか、どれほどたくさんの本や映画で学んだとか、そういうことじゃなかった」 タラさんが気がついた日本文化の本質 7年間の時を経て、今はっきりわかったと感じることがある。 「もしもあのままアメリカで暮らしていたら私たちの関係は今とまったく違うものだったはずよ。アメリカで結婚していた頃はおコメを炊かない日だって珍しくなくて、『今日は