印刷 水俣病の原因企業チッソ(東京)が中国向けに自社を紹介するため作成した文書が波紋を広げている。水俣病の教訓などを記したものだが、被害実態にほとんど触れない一方、補償責任など経営上の「損害」を強調。加害責任の否定につながりかねない主張もあるとして、患者団体などから「被害に向き合う姿勢が感じられない」と批判の声が上がっている。 文書は中国語で書かれ、「水俣病を引き起こした企業の体験と反省」との題でA4判1ページ余り。2005年ごろ作成されたもので、関係者によると、中国・清華大学の公共政策の専門家らが昨年11月に同社水俣本部(熊本県水俣市)を訪れた際などに読み上げて配布されたという。 文書は、被害について「現在まで2千人以上が水俣病と認定されている」とのみ言及。一方、「水俣病を起こした負のイメージは経営上の重大な足かせになった。反体制運動の攻撃目標となり、従業員が暴力に遭い、妨害を受け