『沖縄まぼろし映画館』平良竜次・當間早志・NPO法人シネマラボ突貫小僧著 ボーダーインク・1800円+税 私が那覇市内に仕事場兼住居を構え、半移住生活めいたことを始めて8年ほどになるけれど、最近はもっぱら同好の士と戦後直後に栄えた街を散策しているときが楽しい。往時の街のにおいや記憶をさがしていると、ふいに斬新なモダンデザインの古い建築物に遭遇することがある。 それはたいがいかつての映画館で、いまは別の目的で使われていることが多い。私はそんなときにバッグから「沖縄まぼろし映画館」を取り出して、確認する。あった、これだ。本に記録されている映画館の由来を読みながら、地元の人たちが詰め掛けていた時代を思い浮かべる。 それにしても、ピーク時の1960年には沖縄には120軒も映画館があったことに驚く。 本書では終戦直後の45年から本土復帰の72年までに絞り、映画館の調査をおこない、取り上げている。この