「どうもどうも!こんにちは!中川平八商店です!」 たまたま実家に用事があり、私と母とが軒先で喋っているときにやってきたのはこの土地で古くから牛乳配達をしている町の牛乳屋さんでした。 「わたし今ね、この辺でね、無料でヨーグルトを配ってまして、これなんですけどね」 そう言ってバイクに据え付けられた冷蔵の宅配ボックスからヨーグルトを取り出す牛乳屋の男性。 「これ差し上げますんで、まぁよかったら食べてみて下さいよ!はっはっは!」 優に70歳を超えているであろうその老齢の配達員は、皺でくしゃくしゃになった笑顔を絶やさないまま私達にそれを差し出しました。 「あら、貰っちゃっていいのかしら?悪いわねぇ」 それをまんざらでもない顔で受け取る母。 「どうぞどうぞ!それでね奥さん、うちでは他にもこんなのをやってましてね」 鞄からカラーの薄いカタログを取り出す男性。カタログには宅配用の乳製品一覧が掲載されていま